【解釈&考察】King Gnuの新曲「The hole」MVや歌詞の意味は?最後(ラスト)の衝撃結末や時系列をチェック。


「白日」で日本だけでなく世界中の音楽ファンの心を鷲掴みにした、King Gnu。

類い稀ない音楽センスやリーダーである常田大希さんのメインストリームを見据えた情熱、そして多くの人の心に強く深い感動を与える楽曲には、正直自分も度肝を抜かれ一瞬でファンとなってしまいました。

今回はそんなKing Gnuの数ある楽曲の中でも非常に話題性の高い「The hole」について、ラストの衝撃的な結末の意味が気になるMV・深みのある歌詞の解釈を行なっていきたいと思います。

King Gnuの新曲「The hole」のMVが衝撃的。

まず、今回取り上げるKing Gnuの「The hole」についてですが、この楽曲のMV自体は曲がリリースされた後に公開されたものでした。

「The hole」自体は2019年1月に発売されたKing Gnuのメジャー1stアルバムである「Sympa」に収録されており、そのMVが同年5月に後を追う形で公開されています。YouTubeでの公開を機に一気に再生回数は伸びていき、公開翌日には50万回再生近くにまで伸ばしていきました。

ではそんな大きな話題を呼んでいる「The hole」のMVについて、早速実際の動画を見ていきましょう。

King Gnu – The hole

 

楽曲自体はもともとアルバムに収録されていたものでファンを中心に人気を博していましたが、MVがその人気をさらに後押しする形で再生回数を伸ばしています。

で、肝心のこのMVですがなかなか衝撃的な内容となっているのではないでしょうか。自分も初めて見たときには言葉が出なかったといいますか、深い衝撃と感動に包まれたことを覚えています。

まずはそんなMVの出演者について簡単におさらいしておくと、主人公となる男性として清水尋也さんが主演を務めており、そのほかに夏子さんや神庭昇平さんといった豪華キャストが出演しています。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

清水尋也_Hiroya Shimizuさん(@hiroyashimizv)がシェアした投稿

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

夏子さん(@natsuko93_official)がシェアした投稿

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

EYESCREAMさん(@eyescream_mag)がシェアした投稿

加えて監督は映画「ヴァニタス」「青い、森」などを手がけた内山拓也さん、そしてプロデュースはKing Gnuのリーダーである常田大希さんがが所属するクリエイティブチーム「PERIMETRON」が担当しています。

https://twitter.com/DaikiTsuneta/status/1128955225333592064

 

主演の清水尋也さんをはじめ、相手役の夏子さん、男友達役の神庭昇平さんの熱い演技に心を動かされるこのMV。監督の内山拓也さんはMV制作にあたり次のようなコメントを残していました。

「Sympa」リリース前に(常田)大希からThe holeを聴かせてもらった時、今までとは一味違う骨太なバラードで、King Gnuはまた新たな地平を渡ろうとしているんだ、と思いました。今回のMVは、人が恋をしていると実感できる、様々な“その瞬間”を捉えようと、最初に曲から受けた直感的なイメージを大事にしながら物語りを紡ぎました。実現に当たり、見事に応えてくれた役者の“いい顔”を是非観て下さい。

出典:King Gnu「The hole」MVは清水尋也主演のストーリー仕立て、監督は内山拓也

もはや自分が見てきたMVの中でも個人的に特に印象に残るもので、LGBTを取り扱ったようなストーリーだったり役者さんたちの惹き込まれる演技だったり、そして何よりKing Gnuのどこか哀愁を感じるような楽曲だったり。

映像と音楽と人間と、全ての要素が合わさって素晴らしい世界観を作り出していると思います。

King Gnuの新曲「The hole」MVや歌詞の意味を徹底考察。

さて、そんな衝撃の作品として話題を呼ぶこととなったKing Gnuの「The hole」について、歌詞の意味とMVの内容について解釈と考察を行なっていきましょう。

まず参考までに楽曲の歌詞全体を掲載しておくのでご覧ください、考察ではシーン別に分けて解釈を行なっていきますが楽曲の全体像をあらかじめ捉えておくと良いと思います。

「The hole」作詞作曲 : 常田大希

晴れた空、公園のベンチで1人
誰かを想ったりする日もある
世界がいつもより穏やかに見える日は
自分の心模様を見ているのだろう

吐き出せばいいよ
取り乱せばいいよ
些細な拍子に
踏み外してしまう前に

愛を守らなくちゃ
あなたを守らなくちゃ
消えそうな心の声を聞かせて

ぽっかりと空いたその穴を
僕に隠さないで見せておくれよ
あなたの正体を
あなたの存在を
そっと包み込むように
僕が傷口になるよ

気づけば誰かの物差しで
人と比べた未来に傷ついて
身体にぽっかりと空いたその穴を
埋めてあげることが出来たのなら

逃げ出せばいいよ
全てを放り出せばいいよ
些細な拍子に
壊れてしまう前に

愛を守らなくちゃ
あなたを守らなくちゃ
消えそうな心の声を聞かせて

ぽっかりと空いたその穴を
僕に隠さないで見せておくれよ
傷には包帯を
好き勝手放題の
世界から遠ざけるように
僕が傷口になるよ

愛する誰かが自殺志願者に
僕らはそのくらい脆く不確かで
愛を守らなくちゃ
あなたを守らなくちゃ
世界の片隅に灯るかすかな光を
掻き集めて

この世界の
希望も絶望も
全て飛沫をあげて
あなたに降り注ぐのなら
あなたの正体を
あなたの存在を
そっと庇うように
僕が傷口になるよ

出典:King Gnu – The hole(King Gnu official YouTube channel)

ちなみに今回お話するのはあくまで個人的な解釈に過ぎず、音楽やMVというのは閲覧する個々人の解釈にその意味が委ねられるケースが非常に多いので、あくまで自分の解釈を深めていくための参考程度に読んでいただければ幸いです。

冒頭の時系列は「現在」、1人になった女性の話。

まず冒頭のこちらのシーン、22秒〜1分12秒あたりまで(22秒以前については後述します)。

このシーンでは冒頭のメロディーとして以下のような歌詞が入っていますが、まずここの時系列は「現在」だと感じます。「そりゃ最初なのだから現在だろう」と当たり前のように感じるかもしれませんが、この楽曲ならびにMVにおいては時系列を意識して見ると見方が変わってくる部分があるのです。

晴れた空、公園のベンチで1人
誰かを想ったりする日もある
世界がいつもより穏やかに見える日は
自分の心模様を見ているのだろう

吐き出せばいいよ
取り乱せばいいよ
些細な拍子に
踏み外してしまう前に

よく物語が始まるタイミング、小説などでも多いパターンですがここでは大切な男性(清水尋也)の存在を失い(ネタバレ失礼)、その後の物語として現在の夏子の姿を描写しているのだと思います。

というのもこの「The hole」のテーマとなっているのは人の心の傷なのですが、このシーンにおいては「晴れた空」「公園」「世界がいつもより穏やかに見える日」といったようにポジティブなワードが歌詞として使われていますね。

基本的にこのMV自体は曇り空のような、それこそ見た目的にも暗いシーンが大半を占めているのですが、ここでは太陽や陽の光が取り入れられており少し雰囲気が違っています。それはつまり他の部分が「絶望」を表しているのだとしたらここでは「希望」が表現されているのではないか、ということです。

 

このMVにおける希望とはつまり、「夏子の心の傷が癒えている」という状態です。完全に心の傷が癒えていると言えなくとも、少なからず過去の夏子の心の状態よりは良い状態にあるということ。

実際にMVを見てみると公園のベンチで1人たたずむ夏子の表情は、どこか誰かを想っている表情のように見えます。それこそ歌詞とリンクしているように、ですね。

 

そんな夏子は彷徨うようにカフェへと入り座るわけですが、そこで尋也の姿を目にします。

しかし、実際に店を出ようとした男性が夏子の前を遮った後、彼女の視線の先にはさっきまでいたはずの尋也の姿がありませんでした。

 

尋也が亡くなっている、そしてその後の現在を描写しているシーンだということを踏まえて引き続き解釈していきますが、ここで夏子はどこか戸惑ったかのような、キョロキョロしながらどこか「自分に動揺しているような」表情を見せます。

今、尋也の姿が見えたはず。いやでも、そんなはずはない、彼はもうこの世には存在していないのだから。その現実をわかっていながらも彷徨うようにカフェに入り、そして尋也の姿を目にした「ような」気がしてしまった自分自身に対して戸惑いを覚えている。いないはずの彼の姿をまだ探してしまう。

 

そしてタクシーに乗車しているシーンを挟んで夏子の前にパスタを運んできたのは、尋也でした。しかしこれは個人的には厳密に尋也ではない、というように思います。つまり夏子が見た幻想であって、彼の存在はもうこの世にはいないものとなってしまっているのです。

ただ、尋也(の幻想)は夏子に微笑みかけます。それはまさに「吐き出せばいいよ、取り乱せばいいよ。些細な拍子に踏み外してしまう前に。」と、尋也を失ってしまった現実をどこかで受け入れられずにいる夏子に対して「大丈夫だよ」と、そう伝えているようにも見えます。

これは「愛を守らなくちゃ、あなたを守らなくちゃ、消えそうな心の声を聞かせて。」という、ある種の使命感にも近いような尋也の強い想いが、夏子の心の中に今もなお残っているということの現れでもあります。

 

夏子は尋也を失い1人となってしまいましたが、決して「孤独」ではありません。

自分を守ってくれた存在、大切に想ってくれた存在。彼女は男性に手をあげられていた辛い過去に苦しみ、そしてふさぎ込んでいましたが、そんな彼女を救ってくれた尋也の存在は今もなお、夏子を守り続けてくれているんだと。

 

そういった意味で、MVの最後のシーンまでのストーリーを踏まえた上ではありますが、夏子の「心の傷」「心の穴」を尋也の強い想いが埋めてくれているということ。そして、それは彼が生きていようとそうでなかろうと、自分を救ってくれた尋也が「傷口」となって夏子を守り続けてくれているということ。

そんなMV内のストーリーのメインメッセージ・結末が、ここまでの冒頭のシーンで描かれているのではないかと思います。

物語は「過去」の回想へ、尋也の優しさと嘘。

続いて時系列は「現在」から「過去」へと移り変わっていきます。物語の結論をプロローグとしてはじめに出し、その理由付け・ストーリー付けとして回想へと入っていく展開ですね。

まずここからは夏子の顔が傷ついている痛々しいシーンから始まるわけですが、これは尋也と夏子が出会った後の話だと思われます。考察によっては夏子の傷は尋也によるものだという意見もありますが、個人的にあの傷は「尋也ではない誰か=夏子の元彼or今彼」によってつけられたものではないかなと。

というのも、MVは歌詞とリンクしているということを踏まえて考えてみると良いかなと。このシーンでは次の歌詞が該当していますね。

ぽっかりと空いたその穴を
僕に隠さないで見せておくれよ
あなたの正体を
あなたの存在を
そっと包み込むように
僕が傷口になるよ

そしてここでは尋也が夏子に抱きつき彼女を守るようなシーンが描かれているのですが、このシーンで尋也が夏子を傷つけた上で「その穴(心の傷)を見せておくれよ」と彼女に伝えるのはかなりのサイコパスな人格ではないかと。

「僕に隠さないで」ということは「隠す=自分(尋也)ではない他の誰かによってつけられた傷」というように捉えることもできますし、夏子が尋也に「隠す=傷を見られるのが嫌」と思っていたのであれば、それは「自分の正体=彼氏or元彼に手をあげられていること=人に見られたくない自分の弱い姿」を他人である尋也に晒したくないという思いの表れでもあります。

でも、そんな夏子の心身に空いてしまった「穴」をまさにMVのように包み込んであげるよと、僕が傷口になって癒してあげるよと。そんな尋也の優しさ(のちに仇となりますが)を象徴するシーンとなっています。

 

ただ、尋也はそれと同時に自分自身・夏子に嘘をついていたのです。

「気づけば誰かの物差しで 人と比べた未来に傷ついて」境遇は違えど自分と同じ傷を負っていた夏子を守りたい、癒したい。そう思ってある種の同情に似た愛情を夏子に注ぎつつも、それは同時に「自分も誰かに守ってもらいたい」ということでもある。

 

夏子に寄り添っていたシーンから自転車に乗るシーンへと移るわけですが、このMVのストーリーのカギを握る存在として「イヤホン」に注目してみると色々な考えが浮かびます。

というのも、いつも(この後のシーンにおいても)尋也はイヤホンを片耳にしているのですが、この自転車に乗り神庭昇平の元へ向かうシーンにおいてはイヤホンを両耳につけています。

これはもちろん片耳にイヤホンをしながら自転車に乗るのは危ないという見方もできますが、尋也の「迷いのなさ」を表しているのではないかとも感じます。実はこの後のシーンを見てみると、片耳でイヤホンをしているのは「尋也が迷っている・心が揺れ動いている」シーンが多いのです。

ここでは夏子の傷を癒すために寄り添いながらも、それでもやはり愛している昇平のもとへ向かいたい・愛してもらいたい・守ってもらいたいという尋也の本心がわかりやすく現れているのではないかなと。このシーンでは尋也の昇平に対する思いの強さ、そして彼を純粋に愛する気持ちが表現されていると思います。

その後の尋也と昇平の例のシーンについては特に説明は必要ないかなと。

 

そして、物語はまた進みます。

いつものように事を終えた尋也と昇平。2人は互いに愛し合っている存在ですが、尋也の携帯に1通の着信が入りました。

携帯には「光」の文字、これはおそらく夏子が演じている女の子の名前でしょう。彼女にとって尋也が大切な存在となっており、おそらく「今日会って海に行こうよ」というような誘いだったのだと思います(のちに海に出かけるシーンがありますがこれは同日=昇平と事を終えた翌朝と同じ日のことだと思います)。

 

しかし、昇平はその好意にもちろん気づいていました。「なんだ尋也、新しい女でもできたのか」と。そしてこれはMVでは描かれておらず憶測の域を出ないものではありますが、あの着信があった後に尋也と昇平は喧嘩をしています。

これはなぜかというと、昇平と尋也のシーンの後は夏子と尋也が海へ向かうシーンへと移るのですが、車の窓から出ていた尋也の顔にはどこか空虚な雰囲気というか遣る瀬無さが現れていますよね。

ここでMVと並行して歌詞にも着目していただきたいのですが、この尋也が車から顔を出しているシーンからは次のような歌詞が流れています。

逃げ出せばいいよ
全てを放り出せばいいよ
些細な拍子に
壊れてしまう前に

これは主人公が尋也だという前提として「尋也から夏子に向けられたセリフ」というように歌詞全体を捉えるのがもっともらしいとは思いますが、このシーンの歌詞は「尋也の願望」を表しているようにも思えます。

つまり、夏子との関係性が昇平にバレてしまい喧嘩をしてしまった。それなら夏子との関係を切ればいいのだけれどそれもできない、どっちつかずのまま夏子の誘いに乗って海へと向かう。

そんな状況の中で「逃げ出したい」「もう全て放り出したい(昇平のことも夏子のことも)」と思う尋也の心情、それこそ「些細な拍子に2人とのそれぞれの関係が壊れてなくなってしまう」前に。そう思う尋也の心情が、車から投げ出されたあのなんとも言えない表情に現れているのではないでしょうか。

もうこの車で海へ向かっている時点で、尋也はかなりの葛藤と疲労、そして限界を迎えていたのです。

「あなたを守らなくちゃ」という焦り、崩れ落ちる関係。

徐々に物語は、終盤へと差し掛かっていきます。

海へと出かける夏子と尋也ですが、迷いと葛藤にまみれる尋也の異変にやはり夏子は気がつきます。海で楽しく遊んだ後の車の中でもどこか気まずい雰囲気というか、夏子が尋也の嘘に気づき始めているような表情を見せていました。

 

そして尋也は車を止める、もう夏子も夏子で限界でした。

帰りの車内でも何も喋らない尋也に対して「何か言ってよ!!」と怒鳴りつけ、車を出ていきます。

でも、尋也にとって夏子は大切な存在。そして何より夏子にとって自分は大切な存在なんだと、自分がいなければ彼女はまたあんな目に(過去のような)遭ってしまう。守らなくちゃ、守らなくちゃ、と。

でも、「何を」守らなくちゃいけないのか。昇平にも嘘をつき、夏子にも嘘をつき、そして自分自身にも嘘をついて。「愛」とは何なのか、「あなた」とは誰なのか、自分が守るべき大切なものは何なのか、尋也はもう何もわからなくなり始めていたのではないでしょうか。

愛を守らなくちゃ
あなたを守らなくちゃ
消えそうな心の声を聞かせて

それでも夏子を愛していることは確か、だから彼女を守らなければいけない。ある種の使命感にも似た愛情を尋也は行動に移し、夏子のことを止め、抱きしめます。大丈夫だと。

夏子も尋也が自分にとって大切で欠かせない存在であることはわかっている、だからどうにもできず結局尋也の元へと戻るのでした。

 

しかし、そうして夏子とは事なきを得て関係性を保つことのできた尋也ですが、昇平の家でパスポートからはみ出た航空券を発見します。

そこには「ニューヨーク行き」の文字、昇平は尋也との関係を終わりにしてニューヨークへと旅立つ決意を固めていたのでした(おそらく昇平の職業はカメラマンでニューヨークで働くという決意でもあった)。

 

その後、自分の元から昇平が離れていってしまうことに動揺を隠せない尋也でしたが、カフェで働く彼の元に荷物を持った昇平が現れます。

そして「別れ」のキスを尋也へ、このときの昇平の表情は何とも言い難いものがあります。

 

MVを担当した内山監督は「人が恋をしていると実感できる、様々な“その瞬間”を捉えようとした」と話していましたが、この昇平の表情にはまさにそれが現れているのではないでしょうか。

そう、昇平はまだ尋也のことを愛していたのです。でも愛しているからこそ、尋也のことを想いながら海外へと飛び立つことを決意したのだと思います。そして、だからこそ最後のキスの瞬間をシャッターで大切におさめたのではないかなと思います。

そのように考えてみると、どこか名残惜しそうに尋也を見つめる昇平の表情は、この物語の中でも特に切ないシーンとなっているのではないでしょうか。

 

また、そのことを尋也も感じ取っていました。

そして、だからこそこの遣る瀬無い別れによって生まれた感情をどこにぶつければいいのかわからない。夏子も昇平も大切にしてしまった自分の中途半端な姿勢のせいで、大切な昇平の存在を失い、そして昇平の愛情を裏切ってしまった。

もう、自分を責めることしかできない。これまでは片耳にはめていたイヤホンも両耳から外れ、「迷い」「葛藤」から「絶望」へと移り変わった尋也の心情を表しています。

 

ちなみにこのシーンで彼の携帯に「白日」のジャケットが表示されているのも、尋也の「真っ新に生まれ変わって人生を1から始めたい」「今日だけは全てを隠してくれ」という想いが隠されているのかもしれませんね。

ただ、仮にそうできたとしても「へばりついて離れない、地続きの”今”を生きていくしかない」というのも確かで、尋也のこれまでの行動も含めて、全てを受け入れて生きていくしかないという皮肉のような意味合いも込められているのかもしれません。

そして、物語は衝撃のクライマックスへ。

昇平を失い抜け殻のように倒れる尋也の携帯に、光(夏子)からの着信が入る。

ここでよく見ると着信履歴の他に光名義のLINE通知が2件ほど入っているように見えるのですが、ここではおそらく夏子が自ら命を絶つということ、もしくは尋也を呼び出す旨を送っているのではないかと思います。

 

尋也はうなだれるように自分の家にいる夏子の元へと向かいますが、部屋へ戻るとそこには怒っているような、泣いているような表情の夏子が立ちつくしていました。

ここのシーンに関しては様々な憶測がありますが、個人的には夏子は部屋で「尋也が昇平と関係を持っていた証拠となる何か」を発見し、そして尋也が自分以外の誰かと関係を持っていたことに気がついたのではないでしょうか。

 

というのも海へ行った時点で昇平の存在について尋也から明かされていたのであれば、場合によっては即刻関係を解消する可能性もあります。

また、このシーンで夏子がハサミと袋を両手に持っていることから、昇平との関係を表すものを処分しようとしていたり、浮気のようなことをされていたことに傷つき自ら命を絶とうとしていたとも考えられます。

愛する誰かが自殺志願者に
僕らはそのくらい脆く不確かで
愛を守らなくちゃ
あなたを守らなくちゃ
世界の片隅に灯るかすかな光を
掻き集めて

この歌詞にも自ら命を絶つことを志願してしまう者、というようにありますが、それは夏子のことを表しているのではないかと感じるわけです。

 

そこで尋也は夏子を「守らなくちゃ」というように彼女の手を止め、そして枕のようなものが切れ羽毛が宙を舞うというシーンへ入ります。

夏子を止めることができた尋也ですが、もう夏子はここにいることはできません。部屋を飛び出し外へ出て、尋也の元を離れていってしまうのでした。

 

でも、夏子を失いたくない。尋也は家を飛び出し、夏子に電話をかけ、必死に足を動かし、その姿を探すのでした。

この世界の
希望も絶望も
全て飛沫をあげて
あなたに降り注ぐのなら
あなたの正体を
あなたの存在を
そっと庇うように
僕が傷口になるよ

しかし、まるで夏子を庇うかのように、尋也は事故に遭い命を落としてしまうのでした。

このシーンについては尋也が自ら命を絶ったというような解釈もありますが、なかなか解釈が難しい部分ではあります。ここで自ら命を絶つというのは尋也のこれまでの行動を考えるとどこか無責任なようにも感じますし、最後の最後に全てを投げ出すような行動は尋也は取らないのではないかなと思うわけです。

そのため、この場面では夏子を呼び戻しに出た尋也が、不運にも事故に遭ってしまったという解釈が妥当ではないかなと思います。何れにしても尋也は報われない、救われない存在となってしまったような感じも否めませんが、彼にとっては最後まで難しい人生だったということでしょう。

 

最後は、夏子が尋也との日々やその愛情を思い出し涙を流すシーン。

悲しさはもちろんあれど、それでも自分を愛してくれた「尋也」という存在は夏子の心の穴を埋めるように、彼女の存在を守るように、温かく生き続けているのではないでしょうか。それこそ冒頭にある「現在」で尋也が夏子に微笑みかけるシーンのように。

そういったことも含めて、MV冒頭にある昇平とのキスシーンについても、昇平の心の穴を埋める存在として尋也が生き続けていることを表しているのではないかなと感じました。

最後まで見た上で、また冒頭から見直す。そうすると新たな発見や気づきがあるというのも、このMVの大きな魅力の1つだと思います。

おまけ。

ちなみに、この作品は「走馬灯」のように描かれているようにも感じます。

昇平と過ごした日々も、夏子と過ごした日々も、尋也にとっては一瞬のような出来事。そしてそこから崩れ落ちていくのもまさに一瞬のような出来事で。

そのどの瞬間においても「愛を守らなくちゃ」「あなたを守らなくちゃ」と、誰かを想い心の穴を埋めてあげようとする尋也の優しさの物語が、最後の事故に遭う瞬間に走馬灯のように流れていった。

それがこの「The hole」MVの、メインを占める内容となっているのではないかなと感じました。

King Gnu – The hole

また、「The hole」のMVを受けて「尋也は間違っていた」「尋也のように悲しい存在になってはいけない」というような、ある種の反面教師的な感想を抱く方もいるかもしれませんが、一概に尋也の選択や生き方が間違っていたとは言い切れない部分もあると思います。

愛情の形は人それぞれあるものでしょうし、尋也は夏子のことも昇平のこともどちらも愛していたことは確かです。最終的にはどちらにも嘘をついてしまうような結果となってしまいましたが、尋也自身は自分自身の想いに嘘をつくことはできなかったのではないでしょうか。

その結果として昇平の心にも夏子の心にも、尋也の存在は大切なものとして、そして彼らを支えるものとして残り続けていくでしょう。

それは尋也にとってはバッドエンドなどではなく、大切な人の心の穴を埋める存在として人生を全うできた何よりの証拠なのではないかなと思います。

King Gnu
【完全版】King Gnuメンバープロフィール&オススメ人気曲ランキング|高校大学・家族・年齢・身長など徹底解剖。「King Gnu(キングヌー)」は2019年1月16日にアルバム「Sympa」でメジャーデビューの4ピースバンド、今や日本の多くの人が...

Related Post