ジャンプ+で大人気を博している漫画「地獄楽」の名言や名場面シーン集を、今回の記事では画像付きで総まとめしました。
死罪人として幕府に囚われた「元石隠れ忍衆」の主人公である画眉丸が、打ち首執行人の名門「山田浅エ門」の佐切と共に冒険し成長していく名シーンを紹介していきます。
主人公の画眉丸や佐切だけにとどまらず、バラエティに富んだ個性的な登場キャラクターたちが繰り広げていくバトルシーンや心を震わせる名言は正直涙なしには語れない。
ぜひこの記事を読んで、1人でも多くの人が漫画「地獄楽」のことをもっと好きになってもらえたら嬉しいです。
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心を震わす名言や名場面シーンの宝庫「地獄楽」
タイトル:「地獄楽」(じごくらく)
著者:賀来ゆうじ
出版社:集英社(ジャンプコミックスDIGITAL)
連載:少年ジャンプ+(2018年1月22日〜)
ジャンル:バトル・アクション
漫画「地獄楽」は、2018年の1月22日から少年ジャンプ+で連載されている大人気の漫画作品。
作者の賀来ゆうじ先生が描く個性豊かなキャラクターたちや背景など細部にまでこだわった繊細なタッチは、数多くの作品を掲載しているジャンプ+の中でも「一番人気」とまで言われているほど。
漫画「地獄楽」は元石隠れ衆の忍で死罪人として囚われの身となった主人公・画眉丸が、無罪放免となり愛する妻と再会を果たすために、極楽浄土と噂の島・神仙郷で不老不死の仙薬と言われている「非時香実(トキジクノカグノミ)」を探しに出る旅が物語の舞台。
画眉丸以外にも数多くの死罪人たちが仙薬を見つけ出すためにしのぎを削り、さらにそんな彼ら罪人を監視する役目として同行する「山田浅エ門」の門弟たちもド派手なバトルシーンを繰り広げていきます。
そうしてそれぞれの正義と想いがぶつかり合っていくのと同時に、「地獄楽」の作中では心を震わせる熱い名言や名場面も数多く存在しており、連載開始から1年足らずで多くの読者の心に残る作品となりました。
簡単なあらすじについてはこのようなところとなっているので、ぜひ参考までに読んでみてください。
時は江戸時代末期ーーー。
かつて最強の忍として畏れられた”画眉丸”は抜け忍として囚われていた。
そんな中、打ち首執行人として勤める山田浅エ門佐切から極楽浄土と噂の島・神仙郷で不老不死の仙薬と言われている「非時香実(トキジクノカグノミ)」を手に入れれば、画眉丸は無罪放免になれることを告げられる。
愛する妻の為にその条件をのみ、佐切と共に島に上陸したが、それと同じくして自由を求める死罪人たちや、極楽浄土であるはずの島に潜んでいた化け物どもが立ち塞がる・・・!!
果たして画眉丸と佐切は無事に不老不死の仙薬を見つけ、この地獄の島から抜け出せることが出来るのか?!
生死を悟る忍法浪漫活劇が今、幕を開けるーー!!
「地獄楽」名言&名場面シーン集:画眉丸
それでは早速、今回の記事のメインテーマである「地獄楽」の名言や名場面シーン集をチェックしていきましょう。
第1話から最新話まで本当に見逃すことのできない名シーンが多く正直厳選していくのも多少の難があったのですが、人として成長していく画眉丸や佐切の決意が固まっていく様子など、心に残る名言・名場面シーンを紹介していくのでぜひ楽しんで読んでもらえたら幸いです。
キャラクターの簡単な紹介とともにメインキャラクター以外の登場人物の名言もチェックしていくので、お気に入りのシーンやキャラクターなども新たに探してみてくださいね。
それではまずは、主人公である画眉丸から。
「地獄楽」の主人公、元・石隠れ衆の筆頭で以前は「がらんの画眉丸」の通名で畏れられた最強の忍者。
幼い頃からあらゆる殺戮の術を学び人としての感情を持つことはなかった無感動な忍だったが、石隠れ衆の長に認められ娘と婚約をした後に、その優しさに触れる。
心の清らかな愛する妻との出会いによって人としての愛情を感じることができるようになり、2人で静かに暮らす道を選ぶために忍の身を辞め里を抜ける決断をした。
しかし、抜け人を許さない里の掟のために石隠れ衆の長の指示で仲間に裏切られ、死罪人として捕らえられてしまう。
そして、そこでその後に出会った打ち首執行人の山田浅エ門佐切とともに、無罪放免になり妻と再会するために「神仙郷」に存在するという不老不死の仙薬「非時香実」を探す旅に出る。
「がらんの画眉丸」の噂に違わぬ強さや身体能力の高さを持ち、体温を上げて皮脂を発火させるなど人間離れした忍法を得意としている。
画眉丸の名言&名場面シーン「必ず生きて帰る 君のために…!!」
「地獄楽」単行本1巻・第1話より。
「画眉丸といえば」なこちらの名言、地獄楽の名言で真っ先にこのセリフが浮かぶという人も多いのではないでしょうか。
こちらは画眉丸が佐切と出会い、そして佐切の一言で大切な妻の存在を思い起こした後のシーンとなっているのですが、漫画「地獄楽」を象徴するようなシーンでもあります。
最初は処刑で命を失うことにどうも踏ん切りがつかない画眉丸にとって、妻である結の存在はまさに「生きる意味」そのもの。
地位のためでもない、名誉のためでもない。たった1人の大切な人のために生きていくことを誓った、本当に印象に残ったシーンでした。
何より、この画眉丸の名言は記念すべき単行本の1巻、第1話を締めくくるシーンでもあり、読者にとっては一番印象に残るタイミングで発せられた画眉丸の言葉だったのかもしれません。
画眉丸の名言&名場面シーン「その女性は誰より美しい」
「地獄楽」単行本3巻・第22話より。
木人に案内され村で一旦休息をとることにした画眉丸一行、そこで画眉丸とめいがそれぞれ風呂に入った後のシーンで発せられた名言でした。
画眉丸も相当な数の古傷を身体に負っているのですが、めいもリエンに付けられた大きな傷跡が背中から首にかけて残っており、そのことを少し恥じ隠したいような様子でした。
そこで、風呂に入る画眉丸の頭によぎったのは、背中を洗い流してくれる結との思い出。
髪の毛で目の傷を隠そうとしている結に対して画眉丸が「君はそんなことする必要はない」と促し、結の笑顔が弾ける様子を思い出した画眉丸は、めいにも傷のことは気にするなと声をかけます。
そして「大きな傷を持つ女性=結」のことを「誰よりも美しい」と、傷の有無とは関係なく人は見た目以外にも大きな魅力があることを告げたのでした。
画眉丸と結については様々なエピソードが作中でも描かれてはいますが、画眉丸の口から実際の言葉で結について語られることはそこまで多くはありません。
ましてや忍という身分ということも含め自分のことを晒け出していくのはあまり好きではない画眉丸にとって、このシーンは結への純粋な思いを語った貴重なシーンだったと個人的には思います。
画眉丸の名言&名場面シーン「…ゆい」
「地獄楽」単行本6巻・第52話より。
タオを酷使しすぎたせいで記憶を失いつつあった画眉丸でしたが、佐切のおかげで少しずつ記憶を取り戻しつつあるとき、杠は「妻の存在は幻術で見せられているものなのではないか」と画眉丸に問いました。
必死に仙薬を探し持ち帰ったとしても、奥さんがいないければ意味はないじゃないかと。旅も中盤に差し掛かり今後について皆で考えていく中で、杠にとって画眉丸に対して抱いている疑念を拭わずには進めない思いだったのです。
しかし画眉丸は、「実感がある」と杠に告げます。
論理的に存在するのも、実在することを証明するのも難しい。それでも画眉丸がこれまでに結と過ごしてきた日々は確かなものでした。
少し高くてゆっくりな声、笑うと細まる眼、長く柔かい指、髪が靡いたときに香る匂い。今でも感じることのできる「結」の存在は、画眉丸にとって極めて確かなものだったのです。
初めて作中で画眉丸の妻が「ゆい=結」という名前だということが明かされた貴重なシーンでしたし、杠の論理的な考察に読者が抱く「確かに幻術なのかも…」という疑念を綺麗に拭い去った印象的な言葉たちだったと思います。
画眉丸の名言&名場面シーン「これが夢だとしても君と話せたことが嬉しくて…」
「地獄楽」単行本3巻・第25話より。
ヂュジンが鬼尸解を発動し巨大な怪物となった激闘、画眉丸の体力も気力も限界を迎えていました。
そして神仙郷を訪れてから起こる非幻実的すぎる物事の数々、その全てに「まるで悪夢を見ているようだ」と感じた画眉丸の脳裏には、結の姿が浮かび上がる。
まるで走馬灯のようなそんなシーンで、結は「まるで悪夢を見ているかのようにうなされていましたよ」と告げ、画眉丸は一度は安堵の表情を浮かべます。
しかし、画眉丸はわかっていました。
今眼前にある結の姿は決して現実などではなく、自分が死罪人として囚われたことも、神仙郷で怒った全ての出来事も、今まさに闘っているヂュジンという怪物も、そんな悪夢のような出来事たちが「現実」なのだということを。
ただそれでも、たとえ今脳裏に浮かんだ結の姿が「夢」だったとしても、「話せてよかった」と画眉丸は告げます。それだけ結のことを想っているということでしょう。
このシーンはまるで死の間際に見る走馬灯のような、それこそ画眉丸が本当に瀕死の状態であることを表しているシーンなのですが、ここでもまた画眉丸の結に対する思いの強さが描かれた印象的な場面でした。
画眉丸の名言&名場面シーン「妻を愛している」
「地獄楽」単行本1巻・第1話より。
がらんの画眉丸、そう呼ばれるほど画眉丸は人としての感情を失い残虐なものだと思われていましたが、佐切は彼の奥深くにある「本当の気持ち」に気がついていました。
この名言は打ち首を執行するもそれを拒否する画眉丸に対して、「貴方は生に執着している」つまり「愛する妻のために生きたいと思っている」と告げた言葉です。
そして当の画眉丸も、そのことには元より気づいていたのです。処刑を逃れるのも、妻である結に再会したいという思いからの行動だということに、画眉丸自身も気がついていました。
それでも自分を偽り嘘をついていこうと、「人並みに普通に生きたい」なんて願いなど忍の身である自分には叶えることはできないんだと、そう必死に言い聞かせていた画眉丸にとって、佐切のこの一言は深く突き刺さったことでしょう。
「地獄楽」において、本当に佐切は画眉丸の一番の理解者だと思います。
画眉丸の名言&名場面シーン「とくと見よ 忍法”火法師”。」
「地獄楽」単行本1巻・第1話より。
いかなる罪も無罪放免にする公儀御免状を佐切に出された画眉丸、物語の展開が一気に動いていくというシーンで描かれた画眉丸の「忍法」は圧倒的に格好良かったです。
このシーンではどういう忍術を使ったのかという具体的なシーンは描かれてはいないものの、忍法「火法師」によって抵抗してきた役人たちを圧倒し、画眉丸の実力が初めて見られた貴重なシーンでもあります。
バトル漫画ともなるとやはり「バトルシーン」や「アクションシーン」が読者の心を掴む一番のポイントとなるのだと思いますが、賀来ゆうじ先生の描くバトルシーンは本当に格好良すぎる。
特にこの火法師のシーンは、自分も含め多くの読者が「この漫画を読み続けよう」と心に決める大きな要因となったことでしょうし、ファンの心を鷲掴みにしたシーンだったと思います。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:佐切
「山田浅エ門」という刀剣の試し斬りや処刑執行人を代々務める一家の娘で、「地獄楽」のヒロインでありもう1人の主人公。女性でありながら試一刀流一二位の称号を持つ剣の達人である。
しかし、女性であるがゆえの周囲の偏見に対する葛藤や「首斬りの一族」としての業にも悩み続けている。執行人を務める際にも人を斬ることに対して恐怖を感じており、他の山田浅エ門の門弟に指摘されることも多い。
そんな佐切は死罪人である画眉丸との出会いをきっかけに、己の恐怖や感情を理解しつつあり、心境も次第に変わっていく。
神仙郷にある不老不死の仙薬「非時香実」を探す旅では監視役として画眉丸に同行しており、がらんの画眉丸とも分かり合える数少ない存在。
基本的に真面目で頭脳明晰、冷静沈着な物腰で融通の効かない性格の持ち主でもある。
佐切の名言&名場面シーン「叶います」
「地獄楽」単行本1巻・第1話より。
佐切の名言は画眉丸とのやり取りの中で生まれていくものが基本的に多く、この名言も第1話で画眉丸と争っていく中で生まれたシーン。
処刑を拒みながら妻に対する想いを捨てきれずにいる画眉丸に、佐切は「妻と再会するという願いは叶えられる」と告げます。
そして手にした公議御免状を画眉丸に見せ、物語は一気に急展開を見せていくのでした。
地獄楽に対して「バトル漫画」「歴史物」という大まかなジャンルは読者としても把握していたつもりでしたが、「死罪人たちと不老不死の薬を巡って無罪放免を奪い合う」という展開は誰もが予想できないものだったことでしょうし、「なるほど」と納得させられた印象的なシーンでもあります。
「画眉丸と佐切の2人の物語はここから始まった」そう言っても過言ではない、地獄楽の物語の船出にふさわしいグッとくる佐切の名言でした。
佐切の名言&名場面シーン「昔の貴方とは違うのだから」
「地獄楽」単行本1巻・第5話より。
「幕府が石隠れ衆と接触した」そのことを期聖に告げられた画眉丸は、いち早く仙薬を見つけ出す役目を終えないといけないと、佐切に襲い掛かります。
そんな画眉丸に対して、佐切も打ち首執行人として画眉丸を討たなければならないと対抗しました。
しかし、両者の心には躊躇いがありました。
画眉丸はやはり妻に対する思いと生に対する執着、そして佐切はそんな画眉丸の「情」に触れる中で自分自身も「情と向き合うこと」ができるようになっていたのです。
そして佐切は画眉丸のそんな人間らしい一面に「自分の情から逃げ出さないのが強さ」だと、「昔の貴方とは違うのだから」と告げ、向かう宛のない刃を鞘にそっと納めたのでした。
画眉丸も佐切も、それぞれが人間らしくリアルに葛藤する姿が描かれている「地獄楽」ですが、2人が人として成長していくその過程には強く心を打たれます。
強いだけが全てじゃない、自分の弱さも受け入れて初めて強くなれる。そんな地獄楽の物語のメインメッセージが込められた、印象的な佐切の名言でした。
佐切の名言&名場面シーン「彼女との生に執着はありますか?」
「地獄楽」単行本1巻・第1話より。
こちらは先ほどの「叶います」の名言に続くシーンで描かれた、佐切と画眉丸の印象的なやり取り。
1巻はもう名言だらけで落ち着いて読んでいられないのですが、画眉丸が妻に対して抱いている想いを「彼女との生に執着はありますか」と表現したのは本当にグッとくるものがありました。
画眉丸にとって彼の人生はもう1人で生きていくものではなく、妻である結と出会ってからは「2人の人生」と言っても同然なほど、彼の人生に結の存在は欠かせないものだったのです。
そのことを見抜いた佐切もやはり流石の一言ですし、そんな佐切のおかげで画眉丸も自分の思いに気づくことができる。そして佐切自身もそんな画眉丸の姿を見て成長していく。
佐切と画眉丸はそれぞれ「死罪人」「処刑執行人」という真逆の立場ではありますが、そんなミスマッチな2人が互いに関わり合って成長していく姿が印象的なのが、この「地獄楽」という漫画だと思います。
佐切の名言&名場面シーン「再会すべき人がいるのでしょう?」
「地獄楽」単行本6巻・第51話より。
ヂュジンや弔兵衛との度重なる激闘を経て魂がすり減っていた画眉丸は、もはや佐切のことも妻のことも思い出せずにいました。
しかし佐切はそんな画眉丸に「今は貴方の力が必要です」と、記憶を取り戻してもらおうと接触を試みます。
画眉丸が持つ「火」属性のタオに対して佐切が持つ「木」属性のタオは「相生関係」に当たります、つまり佐切は画眉丸のタオを回復する能力を持っているということ。
抵抗されながらも2人が触れ合っていく中で、画眉丸のタオは徐々に回復していきます。
そして、そんな最中に画眉丸の「記憶の核」とも言えるべき「再会すべき人=結」のことを佐切は彼に告げ、画眉丸が記憶を取り戻すという印象的なシーンでした。
思えば相生関係は「木⇄火」つまり「互いにタオを回復させられる」という双方向的なものではなく、「木→火」つまり「木属性の人が木属性の人を回復させられる」という一方通行的な関係性にあるのも面白いと思います。
画眉丸は直接佐切のことを回復させてあげることはできませんが、佐切は画眉丸のタオを回復させられる大切な存在であると同時に、彼の「本心」を気づかせてあげられる唯一の存在でもあります。
そんな佐切と画眉丸の関係性がタオの属性にも現れていますし、常に画眉丸を支える存在として佐切が描かれているのも非常に印象的だなと感じました。
佐切の名言&名場面シーン「兄弟子に歯向かう無礼と…私の生き方をお許し下さいっ」
「地獄楽」単行本2巻・第12話より。
兄弟子である源嗣に「お前は戦力不足だ」「ここ(戦場)は女が来るべきところじゃない」と告げられ一度は落胆する佐切ですが、それでも自分の思いに嘘はつきたくないという決意が描かれた印象的なシーン。
思えばこの地獄楽の舞台は「江戸時代」だということを忘れてしまいそうになるときも多々ありますが、江戸時代となるとやはり時代が時代ということで「女性」は蔑まれることも少なくはありません。
ましてや源嗣も兄弟子としてはとても面倒見の良い男前ですが、非常に武士としての自覚とプライドは非常に強く、佐切に対してもそれは同じこと。
山田浅エ門の娘には「次期当主と結婚する」という役目があることもここで明かされており、「戦場で女性が生きていていく」ということの難しさを改めて実感させられます。
しかし、佐切はそうして女性として扱われることや、男性よりも劣っていると蔑まれることが「たまらなく耐え難い」と源嗣に告げます。
そして男女関係なく立場も関係なく、1人の侍として、何より1人の人間として「自分の行き方は自分で決めたい」という佐切の想いが描かれた、非常にグッと来るシーンだったと思います。
もちろん女性が活躍しやすいように整えられている今の時代性が相まっているということもありますが、たとえそれが江戸時代でも令和時代でもいついかなるときだとしても、何より1人の人間として素直に生きていきたいと自分も強く感じました。
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「地獄楽」名言&名場面シーン集:結
石隠れ衆の長の娘であり、画眉丸の婚約者。顔にある痣は、里長でもある父に「普通の女性の生き方を諦めるように」と焼かれたもの。
しかし、忍の里の女性とは思えないほど優しく真っ直ぐな性格の持ち主で、太陽のように明るく思いやりに溢れた女性でもある。
「がらんどう」と称された画眉丸と婚約し日々を共にしていく中で、彼に「人」としての感情や生きる希望を与えた。
抜け忍として画眉丸が捕らえられてからは里長の家に幽閉され、誰とも口を利かず画眉丸の帰りを待っているという。
画眉丸にとっては「生きる理由」で、決して欠かせない存在である。
結の名言&名場面シーン「そーいうもんです」
「地獄楽」単行本3巻・第22話より。
めいたちと村に入り風呂に入るところで描かれた回想シーンの中で、画眉丸と結が会話を交わす貴重なシーンが描かれました。
ここでは「過酷な状況こそこうしてゆっくり休まないと」という言葉に対して「そーいうもんかな…」という画眉丸、そして「そーいうもんです」と諭す結の姿がありますが、いかにも夫婦らしいほっこりする場面です。
何よりこの後「人生という名の本当の戦いのために休めるときは休む」と結は告げているのですが、画眉丸が決して1人で戦っているのではないということが現れているシーンでもあります。
戦いというと語弊を感じる人もいるのかもしれませんが、山あり谷ありなこの人生を時には戦い時には休みながら歩んでいく。
それは忍だろうと現代人だろうと共通していることだなと感じましたし、自分も1人で戦って張り詰め過ぎず、時には大切な人との休息を大切にしようと改めて感じさせられた名言でした。
結の名言&名場面シーン「この顔を嫌がらなかったのは貴方だけだもの」
「地獄楽」単行本1巻・第1話より。
名言が多く登場する1巻において、生に対して執着を持っていると佐切にズバッと指摘された画眉丸が「自分はがらんの画眉丸だ」と強がる中で頭に思い浮かんだ、結との日々の中での一言。
「貴方は”がらんどう”なんかじゃない」と、優しい人だと結が画眉丸に告げるのですが、このシーンからは結がこれまでに歩んできた悲しい人生も思い浮かんできます。
男は兵・女は子種の器として生きていくしかない石隠れの里で、結は「普通の女性の生き方を諦めるように」と里長でもある父に顔を焼かれました。
その傷は決してなくなることはなく、結の言葉から察するにこれまでに顔のことを嫌がられたり、女性としてひどく苦労して生きてきたことが伺えます。
それでも容姿ではなく心を、「結」という1人の人間を愛し、大切に思ってくれる画眉丸の存在。
もちろん画眉丸にとって結は欠かせない存在ではありますが、結にとっても画眉丸は唯一自分を愛してくれる欠かせない存在なのでした。
そんな2人の深い愛情と信頼が汲みとれる印象的なシーンでしたし、1話の中でも強く心に残る結の名言だったと思います。
結の名言&名場面シーン「情があるなら従えばいいんです もう昔の貴方とは違うのだから」
「地獄楽」単行本1巻・第5話より。
佐切も全く同じ言葉を口にするという印象的なシーンですが、結も佐切も画眉丸にとって大きな理解者であるということが伺える名言です。
「がらんの画眉丸」と呼ばれ畏れられた画眉丸にとって、「殺しなんかしたくない」という感情や結に対する想いは違和感のあるものではありますが、その気持ちも含めて「情」に従うのが真の武勇だという結。
漫画「地獄楽」の物語は、ただただ強いキャラクターやド派手なバトルシーンが描かれるだけで終わってしまうのではなく、人として当たり前のように持つ感情や誰もが抱える「弱さ」が非常に印象的に描かれています。
その弱さと向き合っていく姿勢が「昔の画眉丸」と「今の画眉丸」、しいては「これからの画眉丸」というように成長していく過程の中で描かれており、この結の名言も含めて人間らしい情がストーリーの中核をなす大切な要素であると改めて感じました。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:弔兵衛
「賊王」と畏れられ、人間離れした怪力を持つ隻眼の男。周囲を惹きつけるカリスマ性と圧倒的な実力を持ち、かつて賊の頭目として伊予山奥に賊の村を築いたほどの傑士。
武家の出身で幼い頃に両親と死別。物乞いとなっているところを野党に拾われたが、「適者生存」として変化の激しい環境にも適応する能力が極めて高く、自分の信念や芯を貫いてこれまで生きてきた。
監視役で山田浅エ門の門弟である桐馬とは実は兄弟であり、弔兵衛が兄に当たる。
弟とは互いに心から信じ合っており、神仙郷に実在するとされる仙薬「非時香実」を手に入れ、弟である桐馬と飲むつもりでいる。
弔兵衛の名言&名場面シーン「どうせ化物にはわからねぇ 誰にもわからねぇさ」
「地獄楽」単行本4巻・第31話より。
ジュファとの闘いに破れ穴に放り込まれた弔兵衛ですが、植物たちと混じりタオの力が身体に入ってきつつも見事に脱出。
そして穴を出て出会った道士と闘いを繰り広げていくこととなるのですが、弔兵衛の異常な再生能力や人間離れした様子に「人でなくなる恐怖はないのか」と問います。
それに対し「変わらないものなんて1つで十分」だと答える弔兵衛の頭には、やはり弟である桐馬の姿が浮かんでいるのでした。
弔兵衛にとってこの世で変わらないたった1つのものは「大切な弟への思い」であり、普段は言葉足らずで素直に桐馬への思いを口にしない弔兵衛の、桐馬を大切に思う気持ちの大きさが垣間見れた貴重なシーンだったと思います。
弔兵衛が言っているようにそれはきっと「誰にもわからない」思いなのかもしれませんが、それでも弔兵衛と桐馬の深い絆は決して断ち切られることはないでしょう。
弔兵衛の名言&名場面シーン「おれの主君はオレだっ オレの神もオレだ!!」
「地獄楽」単行本2巻、第9話より。
神仙郷に降り立った弔兵衛と桐馬を襲う数多くの化物たち、その口からは「殺しは罪です」という説法のような言葉たちが発せられます。
しかし、これまでに理不尽な思いや仕打ちを受けてきた弔兵衛にとって、人に指図されることや他人に生き方を縛られることは何よりも嫌なこと。
他人が決めたものに従うのではなく、自分の生き方は自分で決める。
思えば佐切も同じような考え方を持っているのだとここで感じましたが、漫画「地獄楽」ではこのように「正しさ」「運命」「常識」というような普遍的なものと、それに抗う「自分の本当の気持ち」がせめぎ合う様子が印象的に描かれていると思います。
弔兵衛にとってもそれは同様で、正しさは自分自身の意思で決めていくものであり、桐馬の生き方も含めて誰にも縛られたくないという思いが滲み出た名言でした。
これまでにつらい思いをしてきたからこそ、こういった弔兵衛の強い生き方があるのだと思います。
弔兵衛の名言&名場面シーン「自分を見失ってる」
「地獄楽」単行本6巻、第49話より。
強大すぎるタオの力を身体に取り入れた弔兵衛と、タオを酷使により「がらんの画眉丸」状態となった画眉丸。
それぞれが危うい状態で邂逅してしまいましたが、案の定2人は有無を言わせず闘い始めるシーンでの名場面。
実力はほぼ互角。
でも互いに強大すぎる力を持っているがゆえに、相手を打ちのめそうと危険を厭わず力を解放していくのでした。
そして弔兵衛は「桐馬以外失うものなど何もない」と踏ん切りをつけて、タオの力を全解放。
しかし、あまりに強大すぎる力の前に弔兵衛の持ち前である「絶対に折れない自我」が崩壊してしまい、誰と闘っているのかすらわからなくなってしまいます。
眼前には守るべきはずの弟、桐馬の姿。
まさに自分を見失っている状態になってしまった弔兵衛が、その思いが強すぎるために桐馬すらも傷つけてしまう印象的なシーンでした。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:ヌルガイ
山の民(サンカ)の出身で、見た目は男っぽいが実は女の子。
「まつろわぬ民・蝦夷」の部族であり、多少のあどけなさもあるが高い知能や洞察力に優れ、戦闘においても俊敏な動きと高い身体能力を持ち合わせる。
しかし、他の死罪人とは違い直接の罪は犯しておらず、「幕府に帰順しない山の民であるため」という理由で村を滅ぼされ、結果として死罪人として捕らえられている。
事の発端は自分が侍を助けようとしたことであり、そのせいで山の民が全員侍に殲滅されてしまったと自責の念を抱えて生きている。
神仙郷では執行人の監視役として、山田浅エ門の典坐が行動を共にする。
ヌルガイの名言&名場面シーン「死にたくなんかないよ 山に帰りたい」
「地獄楽」単行本2巻、第11話より。
典坐の勢いと熱意に押されるがまま船に乗って帰ろうとするヌルガイですが、胸のうちには「自分のせいで山の民の皆は死んだ」と自責の念を抱え続けていました。
船に乗れば襲ってくる巨大な化物、ヌルガイは「これは天罰なんだ」と半ば諦めます。
でも、典坐にはそれが理解できないし納得がいかない。何よりヌルガイは「生きるべき」だと信じて、今回の役目も請け負ったのです。
そして、典坐の「じいちゃんとか村とかじゃなく君自身が死にたいかどうか」という問いに、ヌルガイがやっと「生きたい」という本音を口にした印象的なシーンでした。
典坐はあまりにも真っ直ぐで不器用な一面もありますが、こうして本音を引き出したのは本当に大事なことだと思います。
それはヌルガイに「生きる意味」を与えたのも同然で、悲しい結末を迎えはしますが、このときヌルガイにとって典坐が大切な存在となったのでしょう。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:民谷巌鉄斎
「剣龍」「八洲無双」と呼ばれた大剣豪で、龍をも斬ると畏れられた。
豪快で気性が荒く、闘いの中でしか生きられない生粋の剣客。仕官する予定だっった藩主の軽口に怒り、その藩主の屋敷の門を目の前で真っ二つにしたことから死罪人となった。
神仙郷に上陸後は強豪相手である死罪人たちを虱潰しにしようと考えていたが、島ではその異常性を目の当たりにする。蜂の毒針に左手を刺されてしまうが、自ら手を切断したことで一命を取り留める。
執行人の監視役として、山田浅エ門の付知が帯同している。
民谷巌鉄斎の名言&名場面シーン「これぞ真の不老不死だ!!」
「地獄楽」単行本4巻、第27話より。
一時は読み合い合戦で牽制し合うも、画眉丸の旅の目的を聞いた厳鉄斎は共闘を受け入れます。
しかしそもそものところ、厳鉄斎の本当の目的は「無罪ではない」とのことで、掲げる夢について語り始めました。
「天下に轟く偉業を成す」そうすれば厳鉄斎の名は語り継がれ、伝説となり、老いず死ぬこともない。
そんな本当の意味での「不老不死」を目指しているという、厳鉄斎のスケールの大きさが印象的な名言でした。
すでに「八洲無双」、つまりは日本で右に並ぶものはいないとまで言われている厳鉄斎。
メタルギアのスネーク、BLEACHの更木剣八、刃牙の範馬勇次郎、銀魂の神威、ハンターハンターのネテロ。
数多くの戦闘狂キャラが漫画作品にはいますが、その中でも厳鉄斎は熱いロマンと圧倒的な力を持った「闘いの中でしか生きられない男」と言ってもいいでしょう。
民谷巌鉄斎の名言&名場面シーン「おおおおおお嬢ー!!また縮んじまったかあああ」
「地獄楽」単行本6巻、第56話より。
弔兵衛と画眉丸の激闘を止めるためにタオを酷使し大人に成長しためいでしたが、木人のタオをもらう形で回復し、結局元の少女の姿へ。
そんな小さくなっためいを見て厳鉄斎が落胆するという、コメディ要素満載な名シーンです。
「事情はわかるけどあのまま肩に乗せたかった…」と成長しためいを惜しむ厳鉄斎の様子に周りは引き気味、しかもめいの眼の前でそれを言うという面白さ。
比較的若めでフレッシュなキャラが多い中で、いわゆる「面白いおっちゃん」的なポジションにいる厳鉄斎はいつも本当に読んでいて笑ってしまうシーンばかり。
膝を落とす厳鉄斎の前で、なんとも言えない表情で立つめいの姿がとてつもなく可愛いです。
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「地獄楽」名言&名場面シーン集:山田浅エ門 衛善
試一刀流一位の称号を持つ、隻眼の侍。
己の腕と試一刀流に強い自負を持地、知識も経験も優れた上位の剣士。周りからの信頼も厚く、佐切にとっては上司でもある。
神仙郷には陸郎太の監視役として帯同する。
衛善の名言&名場面シーン「いつか美しい刃文ができるよ 楽しみだ」
「地獄楽」単行本7巻、第58話より。
序盤で陸郎太に討たれなかなか出番のなくなってしまった衛善ですが、試一刀流一位を冠しているように周りからの信頼はとても厚い人物です。
そんな衛善の登場シーンの中でも過去の回想にはなりますが、殊現とのこのやり取りは特に印象に残った名言でした。
何の因果か罪人を処刑する山田浅エ門に幼くして引き取られた殊現、その心はひどく荒んでおり「罪人が苦しむように剣の腕は下手な方がいい」「刃を潰してギザギザにするのはどうか」と衛善に皮肉ります。
しかし衛善は、そんな殊現をそっと包み込むように「何度でも私が研ぐ」と告げます。憎しみを消し去ることは難しいけれど、美しい刃文ができるように殊現が正しく育っていくために支えていくと。
親を亡くし憎悪と諦念にあふれていた殊現にとって、どれだけこの衛善の言葉が支えとなったことでしょう。
そしてそれと同時に、そんな自分の親も同然の衛善を失ってしまったことへの殊現の悲しみの深さは、読者である自分たちが想像している以上のものだと思います。
衛善を惜しむ気持ちが止まらず悲しいばかりですが、彼が次期当主に最もふさわしい試一刀流一位を冠している理由が伝わってくる印象的な名シーンでした。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:山田浅エ門 士遠
試一刀流四位の称号を持つ剣士。両目が潰れ盲目であるが、匂いや音で周囲の状況が視えるという凄腕の持ち主でもある。
同じ山田浅エ門の典坐の師匠に当たり、幼い頃から暴れまわっていた典坐に礼儀や剣術の手ほどきをした人物でもある。
性格は温厚で面倒見も良い、神仙郷ではあか絹の監視役として帯同している。
士遠の名言&名場面シーン「それ以上だ!!」
「地獄楽」単行本3巻、第21話より。
士遠と典坐のやり取りは本当に心に残る熱いシーンばかり、この名言はヂュジンと闘う典坐を後にヌルガイを抱えて士遠が逃げるシーンで発せられたものです。
ヂュジンのあまりにも強すぎる実力に一行は全滅させられそうになりますが、典坐はそのことをわかった上でヌルガイと士遠に「逃げろ」と声にならない声で伝えます。
そんな典坐の思いと生き様を無駄にするようなことは師匠である士遠にとっては言語道断で、何より今は1人でもいいから生き残ることが先手だと判断。
そんな見方によっては冷徹な判断を下した士遠に、ヌルガイは「なぜ逃げるんだ」「弟子なんだろ」と叫びます。
それに対し士遠は「それ以上だ」と答えその場を全力で離れたのですが、士遠と典坐の深い関係性が凝縮された一言だったのではないでしょうか。
師匠と弟子。時には叱り時には褒め、これまで人間味を磨くために大切に育ててきた典坐を置いていくということは、士遠にとっては本当に苦渋の決断だったと思います。
本当に心が痛む苦しいシーンではありましたが、典坐の熱い想いとその生き様は読者の心にもずっと残り続けていくことでしょう。
士遠の名言&名場面シーン「敵の命が尽きるまで 自らの命が尽きるまで!」
「地獄楽」単行本5巻、第42話より。
上記にあるように典坐の想いを引き継いだ士遠、その憎しみと悔しさは計り知れずムーダンとの闘いで痛いほどその想いが滲み出ていきます。
鬼尸解までも発動しもはや現状は絶望的になりますが、士遠は自らの命を投げ打つ覚悟でムーダンに臨みました。
「あの時逃げる事しかできなかった自分自身を許しはしない」普段は温厚な士遠の、そんな強い想いがムーダンにぶつけられるという、非常に印象的な名言だったと思います。
まさに決死の姿。ムーダンは討つことができましたが典坐を手にかけたヂュジンを倒すまでは、士遠は決して自分自身を許すことはないでしょう。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:山田浅エ門 桐馬
入門わずか1ヶ月で山田浅エ門の門弟として認められた、天才剣士。長髪で女性のような容姿を持つ美青年であり、性格は多少控え目。
神仙郷では弔兵衛の監視役として帯同するが、実は弔兵衛の弟でもある。
山田浅エ門に入門したのも今回の帯同も兄である弔兵衛を助けるためであり、死罪人である兄を救うために行動を共にしている。
桐馬の名言&名場面シーン「にい…さん」
「地獄楽」単行本6巻、第49話より。
「僕は兄さんの一部だから」そう口にするほど兄である弔兵衛を慕い全てを委ねていた桐馬ですが、弔兵衛は桐馬を守りたいという思いが強すぎるあまり全てを見失ってしまいます。
そして、タオの力を解放し自我を見失うほど変わり果ててしまった弔兵衛の姿。
そんな弔兵衛を見て桐馬は「ずっと1人で戦ってたんだね」と、自分の弱さから弔兵衛が自分を見失うまで戦い果てていることに気がついたのでした。
危うく桐馬も弔兵衛に命を奪われそうになってしまうシーンではありましたが、自我を失った弔兵衛を止められるのもやはり桐馬しかおらず、2人がそれぞれを思う気持ちの強さが伝わってくる印象的なシーンだったと思います。
桐馬と弔兵衛は「兄・弟が全て」であり、その思いの強さは時に危険さすら装うこともありますが、2人が共に成長していく過程には強く胸を打たれるものがあります。
桐馬の名言&名場面シーン「兄さんと並んで戦えるように!」
「地獄楽」単行本6巻、第54話より。
桐馬は自分の弱さから、弔兵衛が自我を失うまで必至の状態になってしまったことを悔いますが、今よりもっと強くなるために厳鉄斎に剣技の教えを請います。
それは桐馬にとっては泥をすするような懇願ではありましたが、全ては島を自分で生き抜くため。1人でも戦っていくため。そして何より兄の弔兵衛を助けるためでした。
このシーンでは「盗賊の言葉は信じられない」という厳鉄斎の言葉を受けて、桐馬が断髪しその覚悟を示した印象的な場面でしたが、よく見ると弔兵衛と同じように髪を結んでいることがわかります。
これはこれまで「兄さんの一部」だった桐馬が、1人の人間として弔兵衛と並び共に闘っていけるようにと覚悟をした証でもありますし、ここから描かれていく桐馬の成長が楽しみになった心に残る名言でした。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:山田浅エ門 付知
試一刀流九位の称号を持ち、医学についても相当な知識を有する博識者。
冷静な面も持ち合わせながら、自身の興味がある生物や人体のこととなると子供のように色めき立つ。
神仙郷には民谷厳鉄斎の監視役として帯同しているが、刀だけでなく解剖用の道具なども持ち歩いている。
付知の名言&名場面シーン「侮辱するなら許さない」
「地獄楽」単行本1巻、第6話より。
戦闘狂の厳鉄斎と解剖好きな付知というミスマッチで独特な組み合わせのペアですが、当たり前のごとく最初はそれぞれの理念や思想に理解ができていない状態でした。
厳鉄斎は「屋敷を真っ二つにしたい」といい、付知が腰につけている解剖用の器具を指し「陰気な奴だな」と指摘。
しかし、付知にとって山田浅エ門の稼業は人の役に立つ大切なものであり、人体構造の解明は医学を発展させる崇高な使命であると。「侮辱するなら許さない」と身丈が自分の倍ほどある厳鉄斎に剣を向けた場面。
「地獄楽」ではそれぞれが自らの役目に誇りを持ち、そして自らの思想に基づいて行動を起こしていきますが、付知の医学や解剖に対する強い想いが垣間見れた印象的なシーンだったと思います。
付知の名言&名場面シーン「仙汰との別れ」
「地獄楽」単行本6巻、第51話より。
普段は大人しく冷静な様子を保っているように見える付知ですが、士遠たちと合流し仙汰が最期を迎えたことを知り大粒の涙を流します。
付知にとって仙汰は茶友として交友を持っていただけではなく、山田浅エ門の中でも学識に長け互いの思想を理解しあえる大切な存在でした。
そんな付知が言葉こそ描かれていないものの、自らを取り乱し涙を流すシーンからは、彼の仙汰に対する思いの強さがひしひしと伝わってきました。
この後に他のメンバーと会合をするシーンでも付知の顔が真っ赤になっており、それほど涙を流していたということも伺えます。
せめて仙汰の最期を看取ることができたなら…と付知の気持ちが思いやられますが、そんな仙汰の死を無駄にしないためにも付知も強く生き残り続けていてほしいものです。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:山田浅エ門 典坐
試一刀流十位の称号を持つ剣士で、爽やかで正義感に溢れる熱血漢。
幼い頃から士遠に剣術の手ほどきを受けており、師匠としても慕っている。
罪を犯していないヌルガイが死罪になることに納得がいかず、今回のお役目を持ち掛ける。神仙郷でも監視役としてヌルガイと行動を共にする。
典坐の名言&名場面シーン「絶対させねぇ!!!」
「地獄楽」単行本3巻、第21話より。
不良少年だったところを士遠に拾われ、人として山田浅エ門の門弟として大切に育ててもらった典坐の恩義は計り知れず、ヂュジンとの死闘においてもその思いの強さが伺えます。
ヂュジンとの圧倒的な力の差を前に一度は全てを諦めそうになる典坐でしたが、典坐にとってこの状況で一番最悪なのは「全滅」するということ。
自分の師である士遠を失うことは彼にとって絶対にできないことですし、大切に育ててもらった恩義を返すために生きているといっても過言ではありません。
また、今回のお役目のきっかけともなったヌルガイの存在も、典坐にとっては死罪人として処刑されていいはずのない守るべき大切な存在で、ヂュジンに2人の命まで奪われることはなんとしてでも避けたかったのです。
そして典坐はどんなやり方でもいいと、自分が時間を稼いで2人の命を絶対に救ってみせるとヂュジンに歯向います。
結末は非常に悲しいものとはなってしまいますが、そんな典坐の覚悟と行動がなければ士遠とヌルガイも共に命を落としてしまったことでしょうし、典坐の思いは2人の心の中に強く残り続けているのではないでしょうか。
典坐の名言&名場面シーン「くそ…!出ねぇ…!!」
「地獄楽」単行本3巻、第21話より。
上記と同様にヂュジンと死闘を繰り広げるシーンにて、典坐は喉を潰され声も出せない状態になってしまいます。
しかし士遠とヌルガイの2人をどうにかしてでも逃がしたい、大切な2人を失うことだけは絶対に避けたい典坐。
そこで「逃げろ」と声に出そうとしますが、喉が潰れて声が出ない。
しかし、士遠は波を感じ取ったのかそれとも典坐との長い付き合いだからこそなのか、その声にもならない言葉を瞬時に理解し、ヌルガイを抱えて一目散にその場を後にするのでした。
士遠は典坐との関係性を「師匠と弟子というもの以上だ」と口にしていましたが、2人の絆の深さ、そしてこれまでに過ごしてきた日々の重さが伝わってくる非常に印象的な名シーンだったと思います。
典坐の名言&名場面シーン「典坐の未来」
「地獄楽」単行本3巻、第21話より。
「お前に可能性を感じたからだ」そう言って大切に自分を育ててくれた士遠、そして自分がそうしてもらったように典坐はヌルガイにも可能性を感じ信じていたのでした。
そんな典坐にとって「自分の可能性」とはなんなのか、自分にはどんな可能性があるのか。最期に頭をよぎったのは自分が思い描く「未来」の姿だったのです。
山田家の当主として多くの門弟を持ち、そして大切に育てていく姿。
ヌルガイと婚約し、2人の人生を幸せに過ごしていく姿。
それは悲しくも叶わぬ未来となってしまったわけですが、典坐の最期に思い浮かんだこの未来のイメージは読者の心を強く打ったはずです。
そんな典坐の持っていた可能性と叶うはずだった未来、その全てを背負い士遠とヌルガイには強く生き残っていってもらいたいと切に願うばかりです。
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「地獄楽」名言&名場面シーン集:山田浅エ門 殊現
試一刀流二位の称号を持ち、山田浅エ門の中でも一番の実力の持ち主と言われている凄腕の剣士。
身内には優しく非常に真面目で素直な性格の持ち主ではあるが、真面目であるがゆえに規律を乱す者や死罪人などには非常に冷徹な一面も持ち合わせている。
幼い頃に両親を失っているが、有名な荒くれ者の家族全員を斬首したことが「事件」として広く知られている。その功績は将軍にも認められ幕府内でも有数の影響力を持つ人物。
神仙郷には後発組として、石隠れ衆の忍びたちと行動を共にする。
殊現の名言&名場面シーン「猪狩りには使わない」
「地獄楽」単行本7巻、第57話より。
後発組として神仙郷に降り立った殊現たちですが、その前にはおなじみの化物が立ちはだかります。
しかし山田浅エ門では試一刀流二位を冠し、門弟の中でも一番実力を持っていると言われている殊現にとって、そんな化物との闘いも「猪狩り」つまり山野にて獣を狩ること同然。
幕府からもらった刀剣も使う必要すらないと、拳で化物を圧倒するという殊現の実力を垣間見ることのできたシーンでした。
付知からは人体の構造を、そして士遠から生命の構造を教わったという殊現ですが、山田浅エ門の中でも群を抜いて強いということがひしひしと伝わってきます。
そんな圧倒的な強さを持つ殊現は佐切や画眉丸たちの心強い味方となるのか、それとも立ちはだかる強大な敵となるのか。今後の展開が気になる印象的な名言だったと思います。
殊現の名言&名場面シーン「殊現さんが弔い中だろうが」
「地獄楽」単行本7巻、第58話より。
殊現に同行し神仙郷にたどり着いた威鈴と清丸ですが、それぞれがかなりクセの強い個性の持ち主。
しかし、そんな一見すると取りまとめのできないような2人でも、殊現に対しては尊敬の念を抱いており従順であることが判明した印象的なシーンでした。
化物が大量に現れる中で、衛善を弔い経を読む殊現。そしてそんな殊現の弔いを邪魔する化物たちを、淡々と排除していく威鈴と清丸の2人。
非常に異様な光景で後発組の強烈な印象を植え付けられた場面で、殊現も含め後発組のメンバーの本当の実力を早く見てみたいと思わされる名言だったと思います。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:山田浅エ門 十禾
試一刀流三位の称号を持つ剣士で、殊現の兄弟子に当たる。
しかし、少々お気楽で飄々とした性格の持ち主でもあり、幕府に対しても無礼な態度を取る事も少なくはない。
神仙郷には法流坊の監視役として帯同したが一度は島から本土に戻り、再度殊現たちと共に後発組として神仙郷へと向かった。
十禾の名言&名場面シーン「もっともっともっと死ぬ 誰一人帰れんでしょうな」
「地獄楽」単行本6巻、第46話より。
後発組として神仙郷に向けて出発した一行ですが、石隠れ衆の忍に殊現など山田浅エ門の曲者揃いな面々となっており、早速船の上でもいざこざが起こり始めます。
そんな様子を見て十禾は「大変ですな」と幕府の役人に告げますが、当の役人は先発隊にとって協力者を運ぶ宝舟である」と特段問題視していない様子。
しかし十禾にとってそれは大の間違いで、この船が運んでいるのは協力者などではなく「更なる死と混乱」でしかありませんでした。
そしてそのことは漫画を読んでいる読者も殊現たちの様子を見て同様に抱えていたもので、そんな読者の不安が十禾の名言を通して浮き彫りになった印象的なシーンだったと思います。
十禾の名言&名場面シーン「殊現との啀み合い」
「地獄楽」単行本7巻、第59話より。
神仙郷に辿り着いた後発組の前には道士が立ちはだかりますが、殊現の前には手も足も出ず圧倒されてしまいます。
「波」つまりはタオの仕組みも感覚的に理解している殊現にとっては、道士すらも手も足も出なかったのでした。
しかし、そんな状況の中でも十禾は手を出すことも刀を抜くこともせず、殊現もそのことを諌めます。
立場的には十禾は殊現の兄弟子に当たるわけですが、これまでにも何度かこうして殊現が十禾の怠慢な態度に物を申すというシーンが描かれていました。
結局は殊現が素直に謝ることでこの場も落ち着いてはいるのですが、どうも殊現と十禾の相性はあまり良くなく「これからどうなっていくんだろう」と読者としても考えせられる名言だったと思います。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:めい
神仙郷で出会った少女で、木人と行動を共にする島民。
実は不老不死を求める徐福によって、天仙であるリエンと共に作られた者のうちの1人であったが、仙薬の実験に傾倒するリエンに捕まり実験のために利用されていた。
しかし、リエンから逃れようとしたところで木人に拾われている。タオの使用によって幼くなったり成長したりする。
めいの名言&名場面シーン「ヂュジンと画眉丸の闘い」
「地獄楽」単行本3巻、第25話より。
鬼尸解を発動したヂュジンの圧倒的な力の前に、画眉丸はほとんど手も出せない状態で瀕死に陥ります。
そして頭には妻である結の姿までもが走馬灯のように流れ、画眉丸は火法師を発動し相討ちを狙うのでした。
しかし、そんな瀕死の画眉丸の元にめいが現れ、タオの力を使いその場をなんとか脱出するという場面。
正直ここでめいが現れなかったら確実に画眉丸は討たれてしまっていたことでしょうし、本当に絶妙なタイミングで助けに来てくれたと思います。
これまでは泣いていたり幼い女の子として可愛く描かれていためいでしたが、力強い表情や強力なタオから今後の成長がさらに期待できる印象的な名シーンでした。
めいの名言&名場面シーン「別了(さようなら)父亲(お父さん)」
画眉丸と弔兵衛の死闘をタオの力をもって止めためいでしたが、力を使いすぎたせいでひどく消耗し、身体が樹化してしまうという窮地に立たされます。
もとより天仙は自力でタオを回復することができるのですが、めいはリエンに胚珠を潰されてしまっており、1人でタオを回復することができません。
そんなめいを、数百年を共にしてきた木人が救うというシーン。
家族も全員が樹化してしまった木人でしたが、数百年前に目の前に蓬莱から逃げてきためいと偶然出会い、その姿に樹化してしまった自らの娘の姿を重ねます。
まるで「家族の真似事」を続けるかのようにめいを育て、数百年も自分の嘘に付き合わせてしまったと謝りました。
そして「償えるのが今だけ どうかこの命を使って欲しい」と、タオが足りていないめいに自分のタオを取り込むように告げたのでした。
そんな木人の提案はもちろんめいにとってはすんなりと快諾できるものではありませんでしたが、これまで時間を共にしてきた木人だからこそ、その願いを受け入れることを決断します。
めいの表情の移り変わりからはその想いの強さが伺え、読者としても非常に心を強く打たれるシーンだったと思います。
そしてめいは木人に「嘘じゃない。本当の家族や家みたいだった」と告げ、タオを取り入れるのでした。
木人の姿はそこにはなくなり帰らぬ存在となってしまいましたが、涙なしには見られない感動シーンだったと思います。
「地獄楽」名言&名場面シーン集:天仙
以下7人のメンバーで形成される、仙道を極め神になった仙人が七つに分裂したもの。
- リエン/普賢上帝
- ジュファ/ア閦大帝
- ヂュジン/如イ元君
- タオファ/ラトナ大聖
- ムーダン/不空就君
- 准胝帝君
- 文殊公々
皆、同じ容貌、同じ声音。だが性格や役割は違っている。七人でこの島を統治している。
天仙の名言&名場面シーン「ヂュジン/如イ元君の登場」
「地獄楽」単行本3巻、第19話より。
化物を退治し神仙郷をめぐる典坐とヌルガイの前にヂュジンが現れたシーン、初めて彼(彼女)が登場したシーンでもあり非常に印象的に描かれています。
ヂュジンはハイビスカスの中国語名でキャラのモチーフにもなっていますが、「水」属性のタオの持ち主だということも判明しており、ちょうど初登場の際にも水辺に降り立つ形で登場しました。
天仙の人間離れした異様な雰囲気を見事に描いたシーンだと思いますし、読者の誰もが「こいつはやばい」と危険を察知したのではないでしょうか。
天仙の名言&名場面シーン「ムーダン/不空就君の鬼尸解」
「地獄楽」単行本5巻、第40話より。
杠と佐切と仙汰で必死に力を合わせやっとの思いで倒したムーダンでしたが、倒れてしばらくして鬼尸解を発動します。
その姿は非常に異様なもので、読者としても「どうやってこんな化物倒すんだ」と佐切たちと同じ思いを抱いた人も多いのではないでしょうか。
そんな登場人物たちのある種の絶望にも似た感情を見事に描いたムーダンの鬼尸解の姿で、非常に印象に残ったシーンだと思います。
天仙の名言&名場面シーン「美しい」
「地獄楽」単行本6巻、第55話より。
画眉丸との死闘の後に崖から転げ落ちていった弔兵衛でしたが、その前に現れたのはリエン。天仙のボス的存在のバトルシーンが初めて描かれた、印象的なシーンがこちら。
リエンはタオの研究を一番熱心に行なっているようにも見えますし、それは他人のタオに対しても同様に深い興味関心を持っています。
弔兵衛の、人間でありながらタオを取り入れ自らのものにしようとする姿にも、このように「美しい」と感嘆する様子。
その有り余る余裕の持ちように読者として恐ろしさを感じるとともに、リエンの実力の底知れなさが伺えた印象的なシーンだったと思います。
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心を震わす「地獄楽」名言&名場面シーン集まとめ
ということで今回の記事では漫画「地獄楽」について、名言や名場面シーン集を徹底的にまとめました。
もちろん今回紹介しきれなかったものの中にも数多くの名台詞が漫画には残されていますし、あくまで今回厳選していったのは物語における一部のものでしかありません。
そういった今回登場しなかったものも含め、漫画「地獄楽」には本当に心が震えるような名言が数多く登場しているので、ぜひこの機に原作を読みその奥深さに触れていただけたらと思います。
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました、頑張ってまとめたので少しでも記事が役に立ったらシェア等していただけると大変嬉しいです。